もう一度行ってみたい 十河和夫 記
「もう一度行ってみたい」いや、「何度も行ってみたい!」僕にとって、それは「メコン川」です。
世界最高峰エべレス山脈の氷河の一滴を集めた沢が高山植物を潤わせながら集まって小川になり、急斜面を滑り降ちて谷に流れ込み急流となって麓へと駆け落ちていく。曲がりくねった山脈や高低差のある滝により攪拌されてどこからやてきた水滴は、何処から来たのかは区別がつかなくなっている。
でも、そこそこ大きくなった川の水は、世界最高の頂上に降った雪の一雫が集まった水だ。その水滴が、人類を育んできた。この水を争って壮大なドラマを紡ぎ出してもきた。そんな「メコン川」に僕は魅せられた。そして、もう一度ではなく、何度も旅に誘われたのだ。
最初にメコン河を観たのは、2009年11月4日だった。チェンマイにロングステイしていた僕は、Lsc会員によるチェンライ・ゴールデントライアングル旅行に参加させてもらった。ビルマ・タイ・ラオスの三国を眺めるゴールデントライアングルの丘に立って、僕は感慨無量に陥った。「国境ってなんなのだろう?」と思ったのだ。海で隔てられた日本では国境は、遠い彼方のものだがここではハッキリと国境が見えた。国境は自然では無く人が創り出しているのだということを!。
僕の「メコン川」巡りの旅がこの時から始まったのだ。(続く)