
小生の奉職先が運輸関係の会社であったことから、今回の台湾ステイの中での大きな目的の一つが、台湾鉄道に乗ることであった。
台湾鉄道は台湾を日本が統治していた時代に作られたもので、今も現役として活躍している。高雄から北に向かって台南まで。あえて車窓を楽しむために普通車に乗り込み、約1時間半の旅に出た。私たちが乗ったのは、おそらく日本から払い下げられたであろう古い車両であった。何か証拠の名盤でもと社内を見て回ったが、そのような刻印等は見あたらなかった。
座席のシートは使い古され、薄くお尻が痛い。何度も座る位置を変え、我慢をするほかなかった。現在、日本の在来線の多くにもロングレールが使用されレール音はあまり感じないが、本来の25メートルレールを繋いでいるだけなのだろう。「コツン!」「コツン!」「コツン!」と継ぎ目を通過するたびに、小さな振動と音が感じられた。奉職した昭和38年時の通勤列車のレール音を思い出させてくれるには十分だった。電車の窓は大きく車窓を見るのはいいのだが、何分ロングシートで横長。体をねじっての景色を見るのは身体の堅い老いぼれ爺さんには結構辛い。
高雄駅を出ると直ぐに原野が広がり、点在するキビ畑やパイナップル畑はやはり南国の風景で珍しく見入っていた。特に田園風景は、どこまでも続き、緑の稲穂が続く田んぼの風景は実に美しかった。高雄を出るとき6割方乗っていた乗客も出たり入ったり。台湾でも高雄から台南まで行くのに普通電車で行く人はいないのだろう。
片道運賃68元。日本円に直すと約340円。台湾での交通費はバス、タクシーも、鉄道も随分と安く感じられ、値上げが続く我が国と比べると、台湾が羨ましく感じられた。
昼はAさんお薦めの「度小月」というレストランで、豪華?な昼食を頂き、街歩きに出かける。孔子廟など有名箇所を観光していると、日照りがきつく疲れが出て歩幅が落ちる。その時、目の前にコメダ珈琲の看板が目に入り、のどの渇きもあり思わず飛び込んだ。まったく日本にあるコメダ珈琲の雰囲気で、我が町、加古川にあるコメダと店の雰囲気が同じであった。それにしても台湾でコメダ珈琲に出合うとは。アイスコーヒ二杯で286元は高いと思ったが、疲れた体に一息入れるにはありがたく、やっと一息入れることが出来た。
最後に赤崁廟に行ってタクシーで台南駅へ。 15時36分発の電車で高雄まで。帰りも普通車に乗ったおかげで、多くの高校生たちに出合ったが、疲れからかウトウトしながら高雄に帰る。地図を見ながら、道を聞き「知らない街を歩いてみたい どこか遠くに行ってみたい」を実現した旅であった。
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古い台湾鉄道に対して、大阪環状線の様に高雄市内を回っているライトレールは2年前?に全線開通したと聞いた。一回乗るのに20元の安さは、うらやましく、乗ってみると冷房が利いていて、公園、商業地区、官庁地区、工業地帯とエリアが分れているのも感じられ、高雄市民の足となっているのがよく分かった。また、今回の台湾旅行のすべての参加者が使っていたであろう、悠游卡(EASY CARD)は実に便利で、私たちが利用したすべての交通機関も一枚の交通カードで乗り降りが出来た。
また、最後に訪れた台湾鉄道博物館は、台湾鉄道の歴史が判る貴重な資料館で、古い駅長の帽子や安全運転の元、タブレットや、カンテラなど、蒸気機関車で育った入社当時の昔を思い出し、実に懐かしく思った。
今回のステイは、長らくコロナでステイがなく、久しぶりなのと、御年を考えると行ける今しかないと思い、下調べもせず、美味いものでも食ってくるか?と軽い気持ちでの参加であった。今度行く機会があれば、下調べもして、「知ってる街を歩いてみたい」と思うのである。












最後に、途中下車した駅近くのかき氷屋さんにいた高齢者の夫婦が、私たちを見て孫のスマホを通して「私たちが作った果物をプレゼントしたい。食べますか?」と、よく熟れた蓮霧(レンプ)を頂くなど、台湾の人の人情味には頭が下がる思いが何度もしたのです。
編集担当 安樂秀典