先日、LSC会員、T氏の呼びかけで「日本を縦断する映像発表会」に出かけた。
「入場料無料」先ずは「トクトク」です。
300人収容の大阪市立図書館大会議室がその会場。
当日は約150名近くの観客入場数と思われた。
主催者は「日本アマチュア映像作家連盟」との事。
上映プログラムは合計18本、各10分前後の短編映像作品である。
連続すると3時間を超える長時間であるが、各短編が終るたびに司会者によるミニコメントがエッセンスの役割を果たしていた。おかげで全編を退屈することなく鑑賞できた。
その中で記憶に残る作品について、その映像の持つインパクトや隠された印象等について感ずるままに記述します。 以下そのプログラムをご紹介します。
(1)木工一筋・66年
各種木材加工用機械を駆使し障子・ふすまなどの骨組み作りの行程は本職はだしのスキルで、手際よくこなしてゆく姿、そこには年季と好きこそものの上手なれの言葉通りの感がありました。障子に猫の通り口や爪とぎ板の取り付けなどユニークな加工もあり微笑ましい限りです。近場のお寺からのリクエスト建具も念入りの加工と出来栄えです。今後は地域の木工匠として90歳まで、夢とエネルギーを燃やし続けたいとの姿に「ワクワク」感が滲んでいました。
(2)大空への夢 ふたたび
「犬に襲われた左の翼がとれたコハクチョウ。3人の親切な仲間が手当てとエサやり等の世話をし、無事、越冬の後シベリアへの帰郷に飛び立つ日を夢見た感動のドキュメンタリーとして自ずとワクワク感がつのりました。そしてその日が来た、数十羽のコハクチョウ仲間と共に水面をかけ走り大空に舞い上がった・・・かと思いきや、しょせん片方の羽だけでは浮力が足りず全力水面走行の甲斐もなく力つきた状態で水面に一羽とり残された・・・その清楚な姿・・・これもまた感動である。
(3)氷と神秘の島グリーンランド
(我LSC、T氏の作品) 広大な氷の世界、そして神秘的でもある。
極寒と人の手つかずと思われる世界である。
その島の面積は日本の面積を遥かに上回るにもかかわらず、ある都市に住む住民はわずか50人程度との事。そこへ日本人ツアーグループ22人がやって来た。その地域独特の素朴で飾り気のない暖かな食事ふるまいに舌鼓を打ち、近場の小高い丘に向けてのトレッキング、名も知れぬ小鳥に見守られながら登りゆく人たちの姿は、周りの神々しい銀世界とオーラに包まれ眩しさを禁じえませんでした。
一片の氷をグラスにかざしたオンザロック、その「神秘の味」はいかがだったでしょうか?
(4)海に望みを託そう
海水の活用によるエネルギー危機対策をテーマにした作品。
海水の電気分解に伴う水素・酸素の利用ほか、なかなか理に叶ったシナリオ展開を今様のアニメ風にアレンジ、某シロヒゲ博士が登場し身近な感覚で楽しませてくれた。
アマチュアでは初めてのアニメによるシナリオ展開であり、今後の活躍が期待される作品でした。
(5)焼き嵌(ば)め
祭りに使われる山車(だし)はその車輪の経年劣化により新たな車輪への交換が必要となる。この車輪の外周は鉄の帯で作られており、内側の樫の木で作られた車輪母体への固定は鉄の熱収縮(ちじみ)に伴う固定機能を利用している。その鉄製帯状のわっぱを樫の母体円板輪にはめる作業がこの作品のメインテーマである。
某鉄工所、作業所内にセットされた固い樫の木で作られた内輪は直径約70cm位であろうか。幅は約10cm位か。その内輪を保護する鉄製外輪が今やまさに500℃以上の温度に赤黒く熱せられその出番を待っている。
両材とも言うに及ばず真円でありひずみがあってはならないのは当然の事である。3人の匠が協力し鉄ばさみでその灼熱した帯状鉄の輪をつかみ樫製内輪外周に手際よくはめかける、とその瞬間、煙と炎が噴出する。求められる作業は内板に対し水平角度を取り、鉄の膨張による許容隙間が数ミリと思われる中、時間と熱と無駄のない動き、そして灼熱と炎と煙が立ち込める中、鉄帯がハンマーで7割方叩き込まれた頃に炎に向け水がかけられるその間、一分にも満たない時間である。まさに匠の見せる研ぎ澄まされた世界のなせる技であった。
今は昔の、野焼きが規制されていなかった頃の映像も紹介されたが、なんとその作業場所は田畑の中に円盤状に穴を掘りその場所での焼き嵌め作業であった。
冷却時の水漏れ防止を考えた上での作業場所選定との事であった。
さてさて画像の無い、拙い文章でのご紹介いかがでしたか。
「ワクワク」にはほど遠いかもしれませんね。 多分出品された作品制作者の皆様方がその制作過程で一番「わくわく」されながら充実した時間を過ごされた事と思います。
編集担当:江口三重子