プノンペンからベトナムの漁師町・チャウドックへ
今日(4月8日)NHKプレミアムシネアマが「キリング フィルド」を放映していた。改めて観て、あの時に感じた感動や、こんな事を二度と起こしてはいけないという思いが、年月を経ると消えているのに驚いた。
嫌な記憶を忘れ去るというのは、人類が生きる知恵なのかもしれない。が、やはり記憶として残す努力も必要だと思った。
プノンペンからベトナムに行くには国際バスでサイゴンへ行くルートが普通だ。でも、この旅行は、メコン川を巡る旅である。そんな安直なコースでは満足しない。
今回は、メコン川を船で下ってベトナムに入国するルートを選択した。
川を船で渡って国境を越えるというのは今までも何回か経験したが、川を下って国境を越えるというのは初めてだ。
戦場カメラマン 石川文洋は「戦場カメラマン」でこう書いている。
「九年前このメコン川の水面を、虐殺されたベトナム人の死体が流れていくのを、やはり、フェリーの上から見たことがある。そして、今はベトナムの人の運転するフェリーに、カンボジアの人々も、ベトナムの兵士たちも乗っている。この九年間、インドシナ三国は大きく変わった。そして多くの血が流された。変わっていないのは、静かに流れるメコンの水だけだ」
船は、復興したカンボジアの町を下って行く。ここで、かって多くの人々が虐殺されたことを想像することは不可能だ。
ただ、乗船している客に僕たちのほかに東洋人がいないということの不自然さ。そこに、フランスによるインドシナ半島の植民地化とアメリカのベトナム戦争の影がある。そう、ここでは東洋人の僕たち夫婦は現地人と同じ黄色人種と認識されている。つまり、日本人は「黄色い肌、白い仮面」なのだ。居心地の悪さを感じた。
カンボジアのイミグレーションは掘っ立て小屋みたいだった。
カンボジアとの国境に接した町チャウドック。メコン川を船で国境越えする際に、必ず立ち寄る活気ある漁村だ。
朝日がメコン川を染める風景は絶品だ。
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