私の故郷は富山県新湊である。市町村合併で今は射水市となっている。故郷を後にしてもう半世紀近くになった。年に一度帰省して故郷を味わっている。また、同じ故郷の同期の仲間と年に一度は2泊3日の旅行をしたりLINEで日常的に交信したりして故郷の情報を得ることも多い。
LSC関西の『ふるさと自慢』特集に併せて、生まれ育った故郷・富山の新湊を改めて振り返ってみた。50年の歴史を経てわが故郷も観光地に変遷している。旅好きの人にとって、私のふるさと新湊はショートステイするに相応しいところと思い紹介することにした。その話を故郷の同期生(通称のりちゃん)に話すと、早速、自慢の場所の写真を撮って送ってくれた。のりちゃんは故郷新湊住む同期生でLINEにいつも故郷の近況報告に写真を添えて送ってくれている。
ベイエリアを観光する
私の幼い頃は越の潟と呼び、夏になると父に連れてもらって兄と一緒に海水浴をした。今では新湊(射水)ベイエリアの観光地として脚光を浴びている。新湊ベイエリアには、帆船「海の貴婦人」と称される海王丸が停泊している海王丸パークや新湊大橋、内川に架かる幾つものノスタルジックな橋などがある。
商船学校の練習船として誕生した帆船であるが現役当時の姿をそのまま残して停泊している。平成25年には「恋人の聖地」に選定され、夜のライトアップされている海王丸も見応えがある。
近くには新鮮な魚がいっぱいの「新湊きっときと市場」があり、富山湾を眺めながら食べる白エビの海鮮丼がお薦めである。お土産の魚介類も豊富で故郷に帰ると必ずと言っていいほど訪ねる。
下記のurlから海王丸パークがより詳しくご覧いただけます。
平成24年に開通した新湊大橋は富山新港港口を結ぶ日本海側最大の斜張橋で、上層は車道であるが、下道は人の通れる2層構造の橋である。橋の真ん中から眺める富山湾(奈古の浦)や富山新港も美しい。富山新港の出来る前は、放生津潟や越の潟と呼ばれたがその面影はない。今では港を作るために開口掘削されてそこに新湊大橋が架けられ新観光名所となっている。この橋は富山湾岸サイクリングロードの一部となっており、自転車も(手牽きながら)通れるのでライダーにも好評である。
下記のurlから新湊大橋の橋の上のライブ映像がご覧いただけます
内川は放生津潟(富山新港)から貫流する3.4Kmの河川であり、中世において栄えた放生津湊に繋がる舟運河であった。今でもノスタルジックな港風情が漂うところであり、日本のベニスと称する人もいる。「川の駅新湊」は内川散策の拠点で、その2階のデッキからゆったり流れる内川を眺めると心が落ち着く。
内川には水辺を彩る15個の橋が架かており、それぞれ個性的な欄干を持ち歴史や風土を感じさせる。 橋の四隅にバルコニー風のアプローチを持ちそこに巨大な手の彫刻を持つ「山王橋」、室町10代将軍・足利義材のブロンズ像がある放生津橋、スペインの建築家に依頼して作ったとされ歩行者専用の屋根付き橋の「東橋」等々、見応えのある橋がずらりと並んでいる。
川沿いには旧廻船問屋を改装したカフェがあり、立ち寄ってお茶したいものである。また、レンタル着物店もあり和服姿で内川散策したりするのも風情があってよい。
新湊漁港は県内でも有数の漁港である。水揚げされる魚種も多い。ここでは早朝のセリの他、全国的に珍しい昼セリ行われ、セリ人と買い手との真剣なやり取りがされる。一般にも公開され百円で身近に見ることが出来る。
内川周辺には映画やドラマのロケで使われた場所が多くある。その一つ「人生の約束」・・・新湊曳山まつりが舞台となった映画で、心揺さぶる絆と再生のストーリー(男泣きする程感動する映画)。そのロケ地は今もそのまま残されている。スナック「海の女王」、渡邊家番屋(今はカフェとして)、新湊漁港西地区の灯台など訪れてほしいところである。
「真白の恋」「「ナラタージュ」などのロケ地となったところもある。
映画「人生の約束」に興味のある方は、下記のurlにアクセス。
新湊観光の詳しくは「きららか射水 観光NAVI 」のURLをご覧ください
放生津の歴史を訪ねる
万葉集には大伴家持の詩が479首も収められているがそのうちの半分近くの223首は越中の国府赴任時代の5年間で詠まれたものであり、歌人として最も意欲的で充実した日々を送った時であった。その国守の居館は二上山(ふかがみさん)を背にして新湊から庄川を挟んで向こうの高台にあり、私の高校時代に授業を抜け出して訪れたところでもある。また、庄川の河口辺りから海越しに見る雪の立山連峰は素晴らしい。二上山や鉢伏山から見る富山湾の景色も素晴らしい。
万葉集の大伴家持の詠んだ歌に奈古の地名が良く出てくる。現在の射水市の奈古町を中心とした地域が比定され漁業集落があったとされる
奈古の海の 沖つ白波 しくしくに
思ほえむかも 立ち別れなば (大伴家持)
東風 いたく吹くらし 奈古の海人の
釣する小舟 漕ぎ隠る見ゆ (大伴家持)
松尾芭蕉は弟子・曽良と二人て江戸の深川を出発して陸奥を周り北陸道に入り日本海沿いに越中を通る。滑川に宿をとった後常願寺川や神通川を渡って放生津に入った。すごく疲れたらしい。放生津八幡宮には上記の大伴家持の詩と下記の松尾芭蕉の句碑が残されている。
由緒によると「国守の大伴家持が奈呉の浦を遊船中、風が強くなり、船の舷に激しくうちつけた。家持はひたすら宇佐八幡神に祈願した。すると、順風に変わり、無事国府に帰ることができた。そこで、家持は、天平19年8月に、本殿、拝殿、七堂伽藍を建立し、宇佐八幡神を勧請した。・・・」というもの。大伴家持が越中国守在任中に創建されたといわれる。九州の宇佐八幡神を勧請して奈古八幡宮と称されたのが始まり、祭神には応神天皇、仁徳天皇が祀られている。毎年10月1~3日に行われる「新湊曳山まつり」はこの放生津八幡宮の例大祭である。
全国的にも珍しい傘状の松は一見の価値がある。享保2年(1717)に当地を訪れた旅の僧が戦国時代の放生津城主・神保慶宗の菩提を弔うために植えたとされている。また、在銘の和鐘としては県内最古とも云われている。
室町幕府の10代将軍・足利義材(よしき)が放生津に逃れ政権を樹立し、放生津は活気にあふれ都から多くの文人たちもやってきたと言われている。その逸話に基づいて放生津橋にその様子をパネルに記されているが、その事実を物語る資料は皆無である。
日本海運の要衝として栄えた放生津(新湊)の歴史や江戸時代に伊能忠敬とともに称される石黒信由(新湊出身)の「高樹文庫」、そして、日本で初めての人間国宝になった陶芸家の石黒宗麿(新湊出身)の作品が展示されている。放生津の歴史を知りたければ是非とも訪ねたいところである。
ベイエリアのアクティビティ
海に面した新湊は海に関するアクティビティもたくさんある。単なる観光だけでは飽き足らない人にも満足を与えるところである。
海王丸パークを出発し、富山新港や内川の橋めぐりなどの遊覧する。陸から見えなかった素晴らしい風景も見える。満潮時には休船に注意。
新湊漁協の若手漁師が企画したクルージングである。普段は乗ることのできない漁船に乗り、富山湾に出航。朝日が昇る中、目前で行われる白エビ漁を見学することが出来ます。魚群探索や投げ編み作業などが見応えがある。
新湊ベイエリアの周遊観光するのに便利で楽しい乗り物がある。昨年(2022年)から運行した小型電動カートである。窓がなく開放的なのが特徴で海岸沿いや内川添いのドライブに最適である。気軽に借りることが出来る。
新湊へ行くときに是非利用してほしいものがある。高岡駅から新湊の越の潟駅までを結ぶローカル線である。のんびりとコトコト走るので癒される。富山県出身の漫画家:藤子・F・不二雄に因んで「ドラえもん」車両が人気である。また、自転車をそのまま乗せることが出来る車両もある(要予約)。一日乗り放題の万葉フリー券もある。
富山湾のサイクリングコースは全長102kmあり、最大高低差は35mと起伏も少なく、しかも富山湾を展望しながらの素晴らしいコースである。西側コースは全長65kmで新湊ベイエリアを含むコースである。下の写真をクリックすると「富山湾サイクリングコースのサイトに繋がる
陶房「匠の里」ではだれでも気軽に陶芸を楽しむことが出来る。初心者でも大丈夫!(ベイエリア新湊から少し離れている)
日本海側最大規模のマリーナ。レンタルボート、ヨットスクール、遊漁船、船釣りなど海洋レジャーの拠点である。海を眺めながら食事もできる。誰もが楽しめる海水浴場もある。また、富山湾は「世界で最も美しい湾クラブ」に所属している。
泊まる
2019年オープン! 北前舟の海鮮問屋として栄えた築100年の邸宅を改装した民泊施設である。古民家ならではなつかしい雰囲気が楽しめる。
射水市の暮らしを体験したい人や住まい探しの際の滞在したい人が活用できる。昔ながらの町屋である。料金は2,500~3,500円/人・日 https://www.mizubenomachi.org/taiken
能登半島の付け根に位置する雨晴は義経ゆかりの地である。
海越しに見る立山連峰が素晴らしい。
編集担当: 高田幸夫