毎年、日本の一番寒い時期に日本を脱出して温かい南の国へ避寒旅行し始めてもう10年以上になる。昨年は残念ながらコロナ禍のせいで中止せざるを得なくなり悔しい思いをした。今回はニューカレドニアを紹介する。
「天国に行くには未だ早いがどんな所か知りたい!」と思う人が多いかもしれない。そんな時に『天国に一番近い島』を訪れてみるのもよい。
ニューカレドニアはどこに!
ニューカレドニアはオーストラリアの東側の南太平洋に浮かぶ小さな島である。(今話題の海底火山噴火のトンガとオーストラリア東岸のちょうど中間)今でもフランス領で、伝統的なメラネシア文化と洗練されたフランス文化が融合されたところである。私たち夫婦は関空から飛行機に乗って8時間半かけてニューカレドニアへ向かった。首都ヌメアからバスで20~30分ぐらいのリゾート地・アンスタバのコンドミニアムを借りて14日間の天国を探す旅を始めた。
変化にとんだ豊かな自然や穏やかな気候の中で、一日中ホテルでのんびり過ごす。プールサイドで本を読んだり泳いだりする。時にはパリの雰囲気の漂う街に繰り出して、ショッピングを楽しんだり、夕日を眺めながらフレンチレストランでディナー楽しんだりした。
南太平洋のプチ・パリ
首都ヌメアやリゾート地アンスバタは街を歩くと南太平洋のプチ・パリという感じがする。ヌメアのココティムエ広場は街のランドマークである。のんびり散策している人も多い。ときどき日本人の新婚さんや若い女性同士の旅行客に出会う。市街にはパステル調のコロニアル建築もよく見かける。小高い丘に登るとセント・ジョセフ大聖堂がある。そこから眺める景色は素晴らしい。南仏を思わせるヨットハーバーや紺碧の海が目に入る。
この時期(1~3月)に訪れるとフランボワイヤン(火炎樹)の花が街のあちこちに咲いている。
フランボワイヤン(火炎樹)の花 | 名物の「天使のエビ」とムール貝 |
海に囲まれたニューカレドニアには美味しい海鮮料理も多い。中でも「天使のエビ」は柔らかくて美味しい。メラネシア郷土料理を食べるなら「ブーシャ」がお薦めである。ちょっと贅沢をしてフレンチレストランでディナーもよい。お薦めは海上に浮かぶレストラン「ル・ルーフ」だ。夕日を眺めながら本格的なフレンチを味わえる。
神様の降りる島を求めて離島へ
森村桂の小説には「神様が痛くないように白い砂が敷き詰められているんだよ」と書かれている。私たちは二つの島を訪ねた。
「イル・デ・パン島へ」
イル・デ・バンへは飛行機で日帰りすることが出来る。マジェンダ空港から軽飛行機に乗って30分のところにある。途中、上空から見る世界最大のラグーンに包まれたイル・デ・バンの海は素晴らしい。ここは世界自然遺産に登録され、「海の宝石」とも呼ばれ、バリアリーフに囲まれた珊瑚の海には驚かされる。我々夫婦はクド・ビーチホテルに荷物を置いて世界のビーチの中でも有数のきめ細かさを誇るパウダービーチを素足で歩いた。素足体感は最高でまさしく小説にある島と同じようである。オロ湾の天然プールと呼ばれる透明度抜群の海やカヌメラ湾でシュノーケリングを楽しんだ。
「メトル島」
メトル島は島全体がリゾート地である。ヌメアからボートに乗って20分(6km)程走るとホワイトサンドに囲まれたまるで別世界に着く。この島にはホテルは一つしかなく1島1リゾート地である。私たちはこの島で宿泊してゆっくり過ごすことにした。島周辺の海は背丈ぐらいの遠浅が続く。シュノーケリングをしていると海亀に出会った。ここの海亀はハワイの海亀と異なりとても美しい。海亀は歩くと遅いが泳ぐとそれなりのスピードである。海亀の後ろから前へと一緒に泳いで水中撮影を楽しんだ。この島は一周するのに2時間もかからない。ゆっくり散策すると珍しい鳥や植物に出会った。
精霊の宿る無垢な自然の森を楽しむ
白亜紀にオーストラリア大陸から分かれたニューカレドニアは独自の進化を遂げた固有の動物や植物も多い。私たちはジープに乗ってリビエルブルー州立公園に向かった。途中、ニッケル成分の多く含む赤土に覆われた荒々しい光景や枯れ木の立つ湖を通り抜けて神秘の森にたどり着いた。ガイドをしてくれたのは日本語も少し話せるフランス人のアンリーさんである。日本人の若い女性4人も一緒であった。飛べない野生の鳥・ガクーに出会ったり巨大なカオリの木を見たりして神秘の森の森林浴を楽しんだ。昼食は川のほとりでピクニックランチを皆で食べた。
メラネシアの歴史や文化を知る
ニューカレドニアの人口の半数を占めるのはメラネシア系の人である。その人たちをカナック族と呼ぶ。その先住民文化や歴史を学ぶためにチバウ文化センターへ行った。広大な敷地の中にカナック文化だけではなくオセアニア全体の伝統文化や歴史を世界に紹介している近未来的な建物がある。関空の設計も手掛けた世界的建築家・レンゾピアノが設計したところである。中は芸術センター、博物館、劇場、図書館などがあり、カナックの民芸品というより芸出品に出会える。また、屋外にはカナック族の村落住居がある。また、カナックの人生観を紹介した「カナックの道」を歩いた。
雑感・・・天国はどこに?
先日、ニューカレドニアではフランスからの独立をめぐる住民投票がなされた。独立となれば中国の影響が強まり不安に思っていたが、否決されてホッとしている。
ニューカレドニアは「日本から一番近いフランス」である。時差が2時間しかなくフライト・ストレスが少ない。平均気温が24℃と温和な気候の上に自然がいっぱいである。まさに天国に一番近い島である。先日のトンガの海底火山の爆発でどんな影響が起こっているのか心配である。
ニューカレドニアから帰って、私たち夫婦は天国とはどんな所かをもう一度考えてみた。平凡な日常生活の中でいろんな夢を描いたり憧れたりすることによって人の心に天国が芽生える。未来に向かって生きる上で憧れとなるものである。私たちは素晴らしい感動のシーンに出くわした時、「天国に行った気持ち」と表現する。その対象は人やモノに出会った時や憧れの場所に行った時である。非日常の世界に身を置いてもっと天国に行った気持ちを味わいたいものである。
動画をお楽しみください
下記の写真をクリックすると、天国に一番近い島「ニューカレドニア」の動画(8分)をご覧いただけます。クリックの後、右下の□をクリックすれば大画面でご覧いただけます。
編集担当 高田幸夫