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ニウエ(Niue)に魅せられて 西川敏彦 記

太平洋諸島/オセアニア

 

「ポリネシアの岩」と呼ばれるニウエは、トンガ、サモワ、クック諸島を結んだ三角形の中央に位置します。
ニウエ国の概要
  • 首都: アロフィ
  • 設立: 1974年10月19日
  • 面積: 261.5k㎡(淡路島の半分くらい)
  • 人口: 1,620人(2018年)世界で二番目に人口が少ない
  • 通貨: ニュジーランド・ドル
  • 公用語: ニウエ語、英語
西川敏彦
西川敏彦

今回も、もちろんとても充実した一人旅だった。 のんびりした環境と美しい海、フレンドリーな島の人たち、安全(夜の犬以外)、恐ろしいいほどの星の数がとても印象的だった。
 帰りの日に近づけば近づくほど、現地の人達と知り合い、仲良くお話ができたのがとても感激的だった。今度来るときには、それぞれの村に回って、家の中まで入り込んで住んでみたいと思うが、少し無理がありすぎるかもしれないね。そこは限度をわきまえながら知らない世界に入ってみたい気がします。

※画像はクリックすると拡大表示されます。

ニウエという国

 ニウエという国はニュージーランドから独立した島国である。成田空港からニュージーランドの最大の都市オークランドまで10時間。朝9時に到着するのでその日は一泊となる。そして翌日の朝9時のフライトに乗ってニウエまで約3時間かかる。この国に来るための国際便は1週間に2便しかないので注意が必要。昨年から今年の5月まで関西空港からの便があったが現在は廃止路線となっている。
 観光国ではないので、ここを訪れる客は少ないだけに自然が豊かだと言える。現在のところ中国人はいそうもないと言うよりニュウージーランドから観光に訪れる程度。立派なホテルは1件だけで、シーニックリゾートがあり値段は一泊5万円を下らないという。
 
 島民は英語が主体。ニウエ語というのも昔から存在しているが、忘れられようとしている。そのためか幼稚園から小学校低学年では教育のカリキュラムの中で復活させている。そのニウエ語―日本語の辞書を作った日本人がいたそうだが、その人は日本に戻っており、85歳になっているらしい。編集するのに10年もかかったらしいが、立派な人もいるものだと感心した。 
 日本との時差-20時間。なぜこの国へ来たのか? 単純な話である。その年の4月テレビの番組(スーパーひとし君の旅番組)をみて、誰も行かないであろう気がしたので一人で行ってみようと気になった。とても小さな国、美しい島、人口が少ないなどの理由で2~3週間くらいでどんなところか探りに行こうとインスピレーションで決めた。

 この島の周回道路は60kmほどしかないので1時間ほど車で回れるというが、それは計算上のこと。  実際は、道路が舗装されているとは言え凸凹道だから時速40kmから50kmほどしか出せないので2時間以上はかかる。舗装された部分の厚みがとても薄いのですぐにデコボコになり、その度に修理しているようだ。人口は20年ほど前6,000人くらいいた人たちは、生活が不便なためか元の国のニュージーランドに移住するため現在では1,500人まで減少している。日本の過疎化と同じようなものだ。 
 独立国とはいえ、多くはニュージーランドに頼っているのが現実。まあ、そのような国だから首都のアロフィというところは街というよりも村に等しいくらい規模が小さく、人も車もが少ないのが魅力でもある。 レストランが3つあり、インド料理、西洋レストラン、日本料理が最初の2つは油が多く毎日食事するには日本人の私には抵抗がある。また料理の種類が少ない。ハンバーガー、フライドチキン、カレーで毎日過ごせると思う? 日本料理店も安心できるが、やはりメニュー数が少ない。 日本人男性(40代に見える)一人がいて、現地の人達一緒に店で働いている。

どんな生活?

 国会の建物を初めて見た時には、「えっ、これがそうなの?」と思うくらい小さな建物であるが、きれいにはなっていた。なんでもニュージーランドとは異なる自分たち独自の法律を作りたいがために作った国らしい。日本政府もこの国を承認している。

 島中いたるところで、鶏が歩き回っていて、なんと全て野生なので誰が取って食べてもいいのである。また、野犬もあちこちにいて夜散歩すると怪しい雰囲気になるので危険を感じる。歩いていると、あとからついてくる犬もいれば、走る車を追いかけて吠える輩もいるのでいい雰囲気とは言えないが島の人たちはなんとも感じない様子だ。

 最近この島に住む人たちは、フィジー、サモア、フィリピン、バヌアツ、インド、インドネシア、ツバルなどの海外からの移住者も入ってきて国際色豊かな人種となっている。日本人は一家族だけで、先ほど説明した日本料理店で働いているのみである。その家族構成は、主人、奥様とこども4人。なんとこの4人の子供は小学校から高校性になるが同じ1ケ所にある学校に行っている。この国にいる人たちも多産で3人以上のこどもが多いので将来が楽しみだ。

 学校は、幼稚園、小学校、高校があり1ケ所に集まっていて、学校のバス4台くらいで子供たちを次々に乗せて回る。先生たちはほとんどが女性で男性は少ない。朝8時に始まり2時には終わる。幼稚園では午前10時にお菓子の時間があり、12時になるとお昼休みとなりお弁当になる。お弁当なども家庭によって様々だが、お菓子だけで済ませる子供がいたり、パンとジャムだけの子供がいたりして食糧事情がこういったところでよく分かる。

 多くの人達の仕事は、公務員。何かものをつくる人たちはほとんどいない様子なので一体どのようにして収入を得ているのが不思議である。外食するとおおよそ2000円くらいはかかるので外国人にすると物価は高い。だから外国人以外の人は外食をすることは少ないと考えられる。一方スーパーマーケットは空港の近くに昨年オープンした大きなものが一つあり、街には小さなスーパーが3つほどあるが、種類は限られている。なのに、大人たちの平均体重は100キロもある人たちがうじゃうじゃ歩いている。 卵1パックが800円もするよ。私が道を歩いていても、気軽に「ハイ」と声をかけてくれるのは嬉しい限りである。みんな人懐こいので、こちらから話しかけるのにはとても気が楽である。ある日、近所を散歩してると数人の子供たちを見つけ、バルーンを作ってあげて友達になる。それを見ていた母親が何事かと私に近づいて来て、世間話をする。そうなると近所の情報など子供達や母親などからいろいろ周りの状況がつかめてくる。楽しいね。

 キリスト教がメインであるが、7つほどの宗派に別れているので統一が取れないでいる。しかし、宗派間の対立はなさそうなので平和を維持されている。のんびりしている人たちの国でバカンスをゆっくりと過ごすには最適な場所である。
 ここでの過ごし方は、一日ぼーっと寝ているか、本を読んで過ごす。あるいは海に行ってスノーケリング、ダイビングをすることくらいかな?フランス人などは、ヨットを持っていて外洋で魚釣りを楽しんでいる家族もいた。 とても羨ましい!交通機関は特にないが、車をレンタルして島中を回ることくらいかな? 過ごし方のもっとも良い方法はこの島の人達と友達になって、パーティーに参加して輪を広げるのがいいのだけれど、それには英会話が少しできないとダメですね。日本人のもっとも不得意な分野かな?
 
 今回の滞在先はコロリーという安宿で一泊4000円。 オーナーが隣の家に住んでいて、娘さんが現在別府に滞在中という。政府からニウエのPRためにいるらしい。シャワー、トイレは共同。リビング、キッチン、テレビがあるがラジオがない。 テレビは一局のみ放送。また、部屋にはクーラーがない。 この時期夜は少し寒いのでとくに空調の必要を感じない。上半身裸で寝ることもあるが、扇風機が置いてあるので、それで十分凌ぐことができる。滞在先の場所が街の真ん中なのでレストラン、車のレンタル会社、小さなスーパーが近くにあり比較的便利なところである。宿泊代については、ほかの宿よりも安いのが助かる。自転車は何台か宿泊所のうしろに置いてあるので無料で借りることができる。

 自分で料理することに不便を感じない人は、本当に安くあがる。幸いこの宿泊所には台所があったので、スーパーで高い食料品を買って料理をすることもあった。もちろんレンタカーを滞在機関中ずっと借りていたのでどこでも行けるようにしていたのである。

学校生活とバルーン指導

さて、実際の滞在生活はどうなっていたかというと、いつものようにマジックやバルーンをするために学校訪問から始まる。幼稚園、小学校、高校(中学含む)が同じ場所にあるので、先に小学校の校長先生を訪ねる。 また怖そうな顔をした女性の校長先生なんだけど、見た目とは違ってとても優しいひとなんだ。あとで聞いた話だけどこの人のご主人は警察署の所長さんで、なんと家では尻に引いていているらしい。どこの国でも女性強し。お話をしてみるとてきぱきと返事してくれて、「今週はスポーツデイがあるので来週の火曜日にしましょう」とあっという間に決めてくれる。そして、「あっそうそう、隣が幼稚園なのでいまから行かない? 今からでも時間大丈夫?」と聞くので、もちろんこちらは時間は持ちあましているから「おー、いまからいってもいいですよ」とあるいて10秒のところに隙間がいっぱいある扉を開けて、校長先生が幼稚園の園長先生に話をつける。「じゃー早速だから10時半からやっていただける?」「それはいいのだけど、でもどうして?」「10時からおやつの時間だから。そのあとやっていただけると助かるわ?1時間お願いよ」なんてすぐ決まってしまった。

 園児にはマジックを理解するのが難しいから、バルーンだけで十分。いつものように犬、うさぎ、剣、キリンを作っていくと、園長先生が一瞬なにかに気がついて「ジョー(私の仮の英語名)、いまから全部剣ばかり作って頂戴」と言う。さすが、先生だ。ここでは園児たちの目や態度を見ただけで何かを感じ、私にお願いをしてきた。私にすれば、おっ、的を得たり! ほとんどの子供たちがこれを欲しがっているのは私の今までの経験からこちらでもわかっているのを一瞬で見抜いたね。私がこの園長先生に褒めてあげたいくらいだ。25人ほどの子供たちに作ってあげたら、先生が子供たちに叫ばせたり、踊らさせたり大いに興奮させていた。すばらしい演出。これで、一幕終了かと思いきや「もう一つ幼稚園があるのよ。今から私が車であなたを連れて行くから」と言われ返事をする間もなく、そこから10分離れた空港のすぐ近くまで猫の子をつかむようにわたしは連れられていった。
 
 幼稚園入るといきなり日本人の女性と思われる保母さんが3歳くらいの男の子を追い掛け回しているのを見かけた。これがきっかけでこの家族とのお付き合いが始まったのである。旦那が日本料理屋の責任者、小学生、中学生、高校生の男の子4人をもつ家族との出会いだった。その後、この家族は私の住んでいた宿泊先まで数回来てもらってよく遊びました。一緒に食事をしたり、マジックやバルーンを教えたり、苦労話を聴いたりしてこの国の状況がさらに詳しく知ることができてとても楽しかったことを今でもはっきりと覚えています。この人たちが唯一の日本人だったのです。 ご主人曰く「ここへくる日本人は、どういうわけかインターネットで私のことを探し当て、訪ねてくるのは良いが、いろいろ相談しにくる。例えば、どこの宿に泊まったら良いのか紹介してくれとか、どこへ観光したらよいのか教えてくれ等が多い。私を旅行代理店の人だと思って勘違いしている人が多い。困ったもんだ。わたしはただの料理人なのにね。だけどあんたは変な奴。他の人は私からなにかを得ようとするが、あんたは私に何かをくれようとしている。こんなの初めてや。」と言いながら私がおしえた簡単なマジックを一生懸命取り組んでいた。

私にすれば、「あんたも変わった人だ。日本に居たら一流の会社で楽に生活できていたものをわざわざかなぐり捨てて自然が多いとはいえ、収入が不安定な場所に苦労することもないのに。」と思う。 しかし、子供たちはそうではなかった。ここへきて、4人みんな生き生きとここでの生活を楽しんでいる。

 翌週の火曜日(月曜日は英国のクイーンエリザベス女王の誕生日のため祝日)に1、2年生に披露。翌日の水曜日には3、4年生をまとめてマジックとバルーン。これは、マジックの反応はすごくて校内中に響くようなどよめきが伝わり、感動を呼ぶ。自分ながらもちょっとてれたけどね。でもそれから学校内に入るたびに、私に面識のある生徒たちは私の名前を呼んでくれる。中には、ハグをしてくれる子供が十人ほどいて、返ってこっちが感動したくらい。まあ、かわいったらありゃしない。わたしを見つけると、飛んできてハグですよ。なかなかほかの国でさえも経験がなかったのに、ここが初めてというより、いつものショーが終わると同じ場所に戻ることはなかったからだということ

 これだけでは、まだ終わらない。私が滞在しているホテルのオーナー夫婦の奥さんのルピーナさんから「木曜日の夕方5時半からコミュニケーションセンターでパフォーマンスすることになったのでよろしく。ついでにラジオでその内容が発表されるからいい宣伝になるわよ」
 なるほど、前日と当日朝7時からのニュースで放送したらしく、街を歩いていたら、「おい、ジョー、ラジオで聞いたぞ。おまえあしたそこでやるんだってな? 見に行くぞ」と声をかけられて「何の話?」「マジックだよ、マジック」「なんで知ってんの?」「今朝ラジオで聞いたの」といった具合。学校の中を歩いてたら「あんたジョーっていうのでしょう?」「なんで俺を知ってるの」「ラジオを聞いて、日本人がなんかするって言ってたけど、あんたのことなんでしょう?だってほかにそんな人周りにはいないから」「まあ、そうだけど」とくる。あのおばちゃんやることが早いなーとつくづく関心。それで当日はすごい人が集まって、大変やった。その上、「バルーンが欲しい子供たち! みんな一列に並んで!」 と言ってしまってから後悔した。
 作っても、作っても後に並ぶ子供たちが減らない。次々に集まってくる子供、もらったバルーンで遊んでいたら割ってしまいどんどんうしろに並ぶのでキリがなかった。それで汗が体中から滝のように吹き出てほんまに「だれか、たすけてー」と思わず日本語で叫んでしまった。

 翌日車で30分ほど行ったところの小さな村でお祭りがあるということをルピーナおばさんから教えてもらった。どんなものかと早速レンタカーで行ってみると、元小学校のグランドを借りて800人ほどの人たちが集まっていた。グラウンドの周りにテントを張って食べ物を売っているのがあれば、特産品を展示販売しているところもある。正面のステージでそれぞれの村の踊りを披露していた。特に子供たちの踊りは可愛くて、可愛くてとってもよかった。多分毎日練習していたんだろうなと思う。それぞれのテントの下では、食べ物を作って売っていた。だいたいどこも同じようなランチボックスなのだけど、それがなんと日本人が食べきれるはずもないほどの量をみて後退りをするほどだった。タロイモ、でかいチキンの唐揚げとソーセージ。 ちなみに帰宅後、これらを3回に分けて食べた。

 ここでの最後のイベントは、いわゆるやり投げ(現地の言葉でなんというか、そのときは覚えていたが、今は何も思い出せない)。とはいっても、やりを投げても地面では刺すことはなく写真を見てもらうとわかるように矢尻は奇妙な形をしているため、地面(芝生)に着地するとしばらくすべるのである。 投げた距離と滑った距離を加えて一番遠くまで投げた人がチャンピオンなのである。小さな子供から大きな大人までみんなで投げ合い、楽しみ、笑い、応援をする。もちろん日本ではちょっとやそっとでは見られないこの島の独特なスポーツだけに楽しさを感じる。

ニウエのお薦め観光ポイント

投稿編集 安樂秀典

太平洋諸島/オセアニア

コメント

  1. 高田幸夫 より:

    マジック&バルーンの取り持つ縁で素晴らしい旅行になりましたね。興味深く拝見しました。何かの機会があれば訪れたいところです。

  2. 堀口昌之助 より:

    なかなかいけんとこによういかはった。その意欲、好奇心に感服。だってお金は馬鹿ほどかかります。その辺を考慮すると行けなくなる。
    考慮しないのが流石というか、感服。私なら、気が狂いそうになる。のんびりでき貧人間輩。
    行った人しか分からない経験をお持ちで帰られた。ご苦労様。

  3. 相田達雄 より:

    ニウエ国 こんな小さな独立国があることをこの記事ではじめて知りました 面積は淡路島の半分ほど 人口 1,500 人 日本人は1家族6人だけ 西川敏彦さんの読みやすい語り口でニウエのことがすこし理解できたような気になりました ありがとうございます

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