令和3年春の叙勲、褒章においてLSC会員である奥田洋さんが受章され、LSC関西の編集担当は奥田さんにZOOMインタビューし、その内容をまとめましたので会員の皆様に報告いたします。
褒章名と受賞理由
奥田洋さんが受賞されたのは藍綬褒章です。藍綬褒章は産業の振興や社会福祉の増進などに優れた業績を残した人や国や地方公共団体から信頼されて行われる公共の事務に尽くした方に贈られるもので、今回の奥田さんの場合は保護司として長年尽くされたことに対する受賞です。
褒章は天皇陛下の名において徴章と共に時の内閣総理大臣が毎年2回、春はみどりの日に秋は文化の日に表彰するものです。2月末に奥田さんのもとに保護観察所から内示があった時、突然の通知にびっくりして唯々驚くばかりであったそうです。
受賞された 奥田 洋 さん |
授賞式
本来であれば法務省において伝達式が行われ、その後皇居に参内し、天皇皇后両陛下に拝謁し、お言葉を頂くことになっていましたがコロナ禍の中、感染蔓延防止の観点から中止となってしまった。奥田さんの奥様が雅子皇后様にお会いするのを楽しみにしておられたそうですがとても残念なことです。但し、一定期間を経て特別に「宮殿見学と写真撮影」が実施される予定です。
内助の功「奥様と共に!」 |
保護司とは
保護司の任務は、犯罪を犯し刑を受けた者が刑期満了近くになったとき、あるいは初犯などで裁判所が保護観察処分を付した者に保護観察所を通じて保護司に月2回の面接を受けるよう指示されます。その者が同じ過ちを犯さないように相談に乗ることが主な仕事です。
保護司は非常勤の国家公務員職ですが報酬が支払われないためボランティアの仕事です。保護司は誰にでもなれるわけではなく、人格行動について社会的信望があり、職務遂行に必要な熱意を有すること、生活が安定しているなどの要件があり、保護司選考会を経て委託されます。ちなみに保護司著名人の中には女優の木暮美千代、歌手の鳥羽一郎、元ニュースキャスターの真山勇一・・・などがいます。このような任務を奥田さんの場合は24年間も従事されたということは頭の下がる思いです。
保護司を始めたきっかけ
保護司を始めたのは、たまたま近くの知り合いの方が保護司の仕事をしており、奥田さんが現役でお仕事をしている頃からPTA,町会や子供会の世話をしており、その方の目に留まったことが始まりだそうです。当初は任務について十分に理解できない状況で軽い気持ちで引き受けたとのことでした。
苦労話
奥田さんの保護観察の対象になる人は、男女を問わず中学生ぐらいから大人の方までの方です。保護観察期間は2~3年ぐらいです。3年前ぐらいに面談する場所としてサポートセンターが設置されましたが、それ以前はそんな施設もなく自宅に本人を招いて面談していたそうです。対象者は初対面のため心を開かすために腐心したと語っています。話が核心の部分になると避けてしまうことが多く信頼関係を築くのに一苦労したそうです。また、本人の家庭環境を知るために2ヶ月に1回、本人の家を訪ね家族とも面談することも大事な仕事であった。守秘義務があり自分の家族と云えども対象者と会えなく二人だけとなるため、若い女性との面談ではパワハラとかセクハラと思われないような言動にかなり気を配ったと笑いながら言っておられました。
趣味の尺八・・・LSC関西の懇談会でも演奏して頂きました。 |
趣味のサイクリング・・・LSCのサイクリング同好会に所属してお世話をしていただいています |
保護司をしていてよかった事
保護観察期間満了を迎えるころになるとお互い理解しあえるようになり、社会に送り出すときは一つの任務を終えた満足感を得て、この仕事をしていてよかったと感じる瞬間だそうです。また、奥田さんの担当した人には再犯はなく、保護司としての役目を果たし続けていることもよかったことの一つとか・・・。
受賞記念のコンサートと披露会
受賞を記念して、奥田さんが長年趣味として携わってきた尺八の会、第15回リサイタルを11月頃に開催予定をしている中で、チャリティーコンサートとし皆さんに受賞を披露させて頂きたいと思っているとのことです。
インタビューの最後に会員に対する要望をお聞きしたところ、保護司の仕事を引き受けてくれる人が少なくなっており、会員皆さんのお子さんや知り合いなどを是非推薦してほしいとのことでした。奥田さんは終始笑顔で質問に対して丁寧にお答えいただきました。ありがとうございました。
保護司という難しいお仕事にボランティア(無報酬)で長年携わって社会に貢献された成果が今回の受賞です。心からお祝い申し上げます。ご家族や私たちLSCの誇りです。今後とも元気でご活躍を期待したいと思います。
LSCサイクリング同好会の仲間と共に島根県:宍道湖・中海を走る |