「暑い、暑い……」が口ぐせになりそうな夏の終わり、私たちは思い切ってひがし北海道へ逃げ出しました!
今回の旅は、釧路(5泊)→ 根室(3泊)→ 帯広(4泊)と、13日間かけての大自然をめぐるロードトリップです(全体のルートは下図をご覧ください♪)。

空港に降り立った私たちを待っていたのは、都会の猛暑とは別世界の、ひんやり心地よい涼風でした。
観光名所を急ぎ足で巡るのではなく、気になるところで立ち止まり、雨なら雨の日の楽しみを見つける。そんな「ちょっと贅沢な、のんびり旅」の始まりです。
まずは、この心地よい涼風と美味しいもの、そして大自然が迎えてくれた最初の6日間、「釧路編」からお届けします。
旅の始まりの一杯……いや、まずはとびきりの勝手丼からどうぞ!
※各章には、旅先でふと詠んだ拙句を添えています。あわせてお楽しみいただければ幸いです。

旅の始まりは和商市場から
釧路に着いて、まず向かったのは和商市場でした。旅の始まりに市場へ行くと、「さあ、釧路に来たぞ」という気持ちが一気に高まります。
好きな魚介を選んで、自分だけの一杯を作る「勝手丼」。これがまた、釧路を訪れる楽しみのひとつなのです。並んだネタはどれも新鮮でおいしそうで、「これは外せないな」「いや、こっちも食べたい」と、つい迷ってしまいます。


夫婦それぞれ、お気に入りの具材を選び、世界にひとつだけの丼ができあがりました。見比べてみると、同じ勝手丼でもまったく違う表情になるのが面白いところです。
旅の始まりにぴったりの、心もお腹も満たされる昼食でした。
雨の日:街の文化芸術に触れる
初日の釧路は、あいにくの雨模様でいた。そんな日は、街の文化に触れる時間を楽しむ。
石川啄木、ゆかりの港文館や、釧路芸術館を訪ね、港町が育んできた歴史や芸術に触れた。
天気に合わせて過ごし方を変えられるのも、ゆとりある旅ならではの魅力です。
『秋涼し啄木たどる北の果て』ゆきお




釧路川沿いで過ごす毎日
今回の旅では、釧路川沿いのホテルを拠点とした。朝は、港を眺めながらゆっくり朝食をいただく。


そして毎朝、自転車で街を巡る。川沿いを吹き抜ける涼しい風。漁船のまわりを飛び交うカモメたち。


観光名所を巡るだけでは出会えない、釧路の日常の風景に心が和む。まるで、この街で暮らしているかのような時間が流れていく。



『がっぷりと喧嘩四つや雲の峰』ゆきお
霧と雨の神秘の湖:オンネトーへ
何度も釧路を訪ねていますが、今回の旅で、どうしても訪れたかった場所がありました。
阿寒摩周国立公園にある神秘の湖、オンネトーです。
この日も空は雨模様でしたが、雨具を身につけて湖畔を歩きました。「せっかく来たのだから、歩いてみよう」と気持ちを切り替えると、雨の森もまた美しく見えてきます。


旅行前に買ってきた熊鈴を腰につけ、鬱蒼とした展望台への道を歩きました。チリン、チリンという音のおかげでしょうか。熊に会うこともなく、無事に森の中を進むことができました。
展望台は深い霧に包まれ、楽しみにしていた景色を見ることはできませんでした。それでも、不思議と落胆することはありませんでした。


静かな森の中を歩いてたどり着いたオンネトー湯の滝では、温かな湯が流れ落ちる不思議な風景に出会えました。「こんな場所があるんだね」と、思わず足を止めて見入ってしまいます。



思いどおりにならない天気も、旅の思い出のひとつです。雨の日だからこそ感じられる、オンネトーの魅力がありました。
『滝がしら真っ逆さまに落つしぶき』ゆきお
夜の釧路と炉端焼き
釧路の夜は特別です。夜の釧路と炉端焼きを楽しみました


炉端焼き発祥の地といわれる釧路で夕食を楽しみました。
炭火で焼かれた魚介の香ばしい香りが、食欲をそそります。目の前で焼き上がる魚を見ていると、「これは間違いなくおいしい」と食べる前から期待がふくらみます。
その日に見た景色や感じたことを語り合いながら、ゆっくりと食事の時間を過ごしました。


食後は、釧路川沿いをのんびり散策しました。
ライトアップされた橋や、川面に映る街の灯り。昼間とはまた違う静かな港町の表情が広がり、「夜の釧路もいいね」と話しながら歩きました。昼間とはまた違う、静かな港町の表情が広がっていた。


『夕霧の消し忘れしや湖の舟』ゆきお
花咲線と釧路湿原
釧路の魅力は、街だけではありません。
花咲線に揺られて、釧路湿原へ向かいました。列車の窓から見える景色が少しずつ広がっていくと、これから大きな自然の中へ入っていくのだという気分になります。


塘路湖の周りを自転車で巡りました。
ときには自転車を降りて丘へ登ります。少し汗をかいた先には、雄大な湿原の景色が待っていました。
目の前に広がる景色を見た瞬間、「来てよかった」と心から思いました。




帰りはノロッコ号に乗って、ゆっくり釧路駅へ戻りました。
車窓の向こうには、エゾシカたちの姿も見えました。思わず車内から目で追ってしまうほど、自然の中に溶け込んでいます。


ここでは、人も動物も大きな自然の中で共に暮らしているのだと、しみじみ実感しました。
『虫の音に旅の疲れを預けけり』ゆきお
霧多布岬へドライブとサイクリング
今日は釧路を出発して、車で東へ向かいました。さあ、今日は厚岸と霧多布をめぐる一日です。浜中町に入ると、広い牧草地に馬たちがのんびり放牧されています。こういう景色を見ると、「北海道に来たなあ」と感じますよね。


お昼は厚岸味覚ターミナルへ。せっかく厚岸まで来たのですから、牡蠣は外せません。新鮮な魚介類をBBQで味わいました。
『ひれ塩の焼き加減よし秋鰯』ゆきお


お腹が満たされたあとは、霧多布湿原へ向かいます。木道を自転車で走ると、湿原の風が気持ちよくて、思わず深呼吸したくなります。


最後は霧多布岬へ。海を眺めながら、「今日もよく走ったね」と話しつつ、釧路への帰路につきました。

カヌーで感じる湿原の時間
釧路の旅の最後は、釧路湿原を流れる川をカヌーで下りました。


水面と同じ目線で景色を眺めていると、エゾシカや丹頂鶴が姿を見せてくれました。音を立てずに進むカヌーの上では、自然の息づかいまで聞こえてくるようです。



おわりに
急がなくてもよい。予定どおりにいかなくてもよい。
ただ風を感じ、水の流れに耳を澄ませる。そんな時間が、何よりぜいたくに思えました。
猛暑を離れて過ごした五日間は、体だけでなく、心まで穏やかにしてくれました

また来年も、この涼しい風に会いに来たい。そう思わせてくれる、夏のおわりの釧路の旅でした。
8分で見る釧路の旅(動画)

夏の終わりの「釧路6日間」を、贅沢に8分間の動画にまとめました!
爽やかな朝の釧路川、ガタゴト走る花咲線やノロッコ号、大迫力の釧路湿原にカヌー体験まで……見どころをたっぷり凝縮。
コーヒーを片手に、ゆったりとひがし北海道の旅気分を楽しんでみてください。
あっ!,見たら最後、今すぐ釧路に飛び立ちたくなるのでご注意!(笑)
編集担当:高田幸夫




