海外・国内の旅行、長期滞在好きの仲間が集まったサークルです

2019年 モンパルナス墓場にて  十河 和夫 記

ヨーロッパ/アフリカ

オリンピックには興味がないのですが、パリオリンピックの報道があるたびに、
パリ旅行を懐かしく思い出します。
パリはお洒落な街ですね。いろいろ懐かしく思い出します。

何なのだ!このキスマークは?と僕は思った。サルトルの墓参りにルンルン気分で来た僕を驚かしたのは、墓石にキスマークがつけまくられていた事だ。しかし、僕をそれ以上に驚かしたのは、キスマークよりサルトルとボーヴォワールが同じ墓に仲良く収められていた事だった。

「私たちのあいだの愛は必然的なもの。でも偶然の愛を知ってもいい」と宣言して二人は2年問の契約結婚を結んだが、日本でいう法律的な結婚はしていない。だから、僕はてっきり二人は別個の墓に収められているのだと思い込んでいたのだ。

墓は普通の大きさだった。僕たちは墓に礼拝した。維かが手向けた花が墓石の上でドライフラワーとなってカサカサと風に揺らいでいた。妻が「花束を買ってくるべきだったわね」とつぶやいた。

僕は「そうだね」と小さく答えた。実は僕も手ぶらで来たことを悔やんでいたのだ。

「来る時に花屋があって安くて綺麗な花があったの」妻は後悔しているようだった。

「来ただけで喜んでくれているよ」僕はそう答えながら妻との出会いはサルトルとボーヴォワールがいたからだということを思い出していた。

墓場は、春の肌寒い風が吹いて寒々とした風景だった。

「寒いね」と僕が言うと、「そうね、淋しいわ」とトンチンカンな答えが返ってきた。
そう、僕たち二人は時々言う事がくい違う。それでも理解しあってきたのだと思う。

その時、僕は気がついたのだ。僕たちはサルトルとボーヴォワールの墓にお礼参りにきたのだと。
妻と出会えたのは君たちのおかげだ「ありがとう」。
そして、今またあなた達は教えてくれた!何があっても最後まで二人で生きていく事が必然なのだと。

編集担当:江口三重子

ヨーロッパ/アフリカ海外旅行体験記/記録

コメント

  1. 高田幸夫 より:

    意味深々の投稿ですね。十河夫婦についてもう少し触れてほしかった。

ロングステイクラブ関西