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もう一度行ってみたい(メコン川) 十河和夫 記

海外旅行体験記/記録

チャウドックからカントーへ

カントーはメコンデルタ地方最大の都市。メコンデルタでは最も都市化されていて、日本旅行客も多く訪れている。

メコン川は全長四千五百キロ、東南アジア最大、世界第一三位の国際河川だ。チベット高原に源流を発し、中国雲南省を経てビルマの北辺をかすめ、タイ・ラオス国境を画しながらカンボジアを縦貫。トンレンサップ湖につながる水路と合流したあと、ベトナム南部に広大なデルタを形成して南シナ海に注ぎ込む。

メコンには多種多様な水が流れている。険しいヒマラヤ、チベット山系の雪解け水も、モンスーンの豪雨も、ラオスのナムダム川、タイのムン川、カンボジアのトンレサップ川などの多くの支流の水も、すべてが交じり合い、一つになって渦巻き、淀みながら南シナ海へと流れ出る。

ベトナムに入るとメコン川は二つに分かれる。カントーに流れるのはメコン川(後江)でヴィンロンに流れるのはメコン川(前江)だ。

やっと、ここまで来たのだ。レストランから眺めるメコン川(後江)は雄大に流れている。今回は、ワインで乾杯だ。

 

愛人(ラマン)』の舞台となったヴィンロンはすぐ隣の町だ。

作者マルグリット・デユラスはこう書いている。

言いそえれば、わたしは十五歳半だ。メコン河を一艘の渡し船がとおってゆく。その映像(イマージュ)は、河を横断してゆくあいだじゅう、持続する。わたしは十五歳半、あの国には季節のちがいはない。いつも、同じひとつの、暑い、単調な季節、ここは地球の上の細長い熱帯、春はない、季節のよみがえりはない。

ときは1920年代、少数のフランス人がヴェトナム人を支配し、両者の間に入った華僑が経済的実権をにぎるという植民地時代の物語だ。

今は、2020年だ。あの時代とどれだけ変化したのだろう。今も、華僑が東南アジアの経済の実権を握っていることには変化はない。白人が黄色人種をを差別する度合いはどれだけ薄められただろうか?

下の兄は気管支肺炎で三日で死んだ、心臓がもたなかったのだ。そのときだ、わたしが母からはなれてしまったのは。日本軍に支配されていたころだった。すべてがその日に終わった。

日本軍が、ヴェトナムを支配していた時代もあったのだ。しかし、今は多くの人がそれを忘却している。でも、そうした歴史をすべて見てきたメコン川は、今も静かに流れている。

マルグリッド・デュラスは、六十歳後半に38歳年下の青年ヤン・アンドレアと愛の生活に入る。そして、ヤンはデュラスの最後の愛人(ラマン)として16年間を過ごした。映画「デュラス 愛の最終章」は、マルグリット・デュラスの生涯の終盤16年間の愛を綴った物語だ。

2009年11月、Lscのチェンライ・ゴールデントライアングルのお誘い旅行から約10年経つ。

やっと、ぼくのメコン川を巡る旅は終わったのだ。

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