京都には紅葉の名所は数々あるが、とびっきりの名所にもかかわらず知る人ぞ知る穴場がある。
京阪出町柳駅から叡山鉄道に乗り換えて20分ぐらいで市原駅に着く。そこから鞍馬に向かって15分歩くと白龍園にたどり着く。そこは、寺でもなく神社でもない。京都のアパレル会社の社長・青野正一氏が雑木林と笹に覆われた洛北の二ノ瀬で購入したことに始まる。プロの庭師の力を借りず全て社員と地元の人の手作りによって作り上げたところである。手作りならではの侘びた風情がたまらなく人の心を引き付ける。
『渓紅葉 二ノ瀬の山を 抱く如し』ゆきお |
二ノ瀬の山の借景を活かすために白龍園には柵や棚はない。今訪れると燃えるような紅葉とふあっとした緑の苔が美しい。
園内には五つのあずま屋が点在する。それぞれの趣を楽しめるが、あずま屋から見える額縁効果の紅葉景色は特に際立つ。思わずスマホを向けてカメラに収めたくなるところである。
『あずまやの 額縁越しや 大紅葉』ゆきお |
紅葉だけではなく、訪れる人の心を奪うのは園内全体を覆う苔である。石段、歩道、屋根・・・訪れる人を優しく迎えてくれる。
実はここの苔を保護するために一般公開は、年に二度と限られている。また、人数制限もされている。庭師は手作業で苔の中の雑草や雑苔を毎日のように取り除いている。園内を歩くときには不用意に踏まないように注意したいものである。
『神の旅 人の情けは 道しるべ』ゆきお |
コロナ禍の中、LSCの人たちにはベールに包まれた白龍園を訪れ静かに心を和ましてほしい。
白龍園を楽しんだ後は、道路を挟んで真向かいにある古民家に立ち寄るのもよい。囲炉裏を囲んでお抹茶やぜんざいなどを食べながら一息つくのも楽しみの一つである。
『待宵の 一献交わすや 囲炉裏端』ゆきお |
紅葉と苔の「白龍園」を5分の動画にまとめました。(下記のURLをクリックするご覧できます)
(注1)2020年の一般公開は10/15(木)~12/3(木) 10:00~14:00 (14:00~16:30は事前予約必要)
(注2)入場料金 10月→1300円 11月→1600円 12月→1300円